【感想】サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む-
プレイできて嬉しい、ありがとう。
製作お疲れさまでした。
公式サイトリンク
サクラノ刻 −櫻の森の下を歩む− - アダルトPCゲーム - FANZA GAMES(旧DMM GAMES.R18)
http:// https://dlsoft.dmm.co.jp/detail/mnphs_0014/
目次
前置き
この記事では「サクラノ詩」及び、「サクラノ刻」のネタバレをします
これからプレイするよという方は、ご注意のほど、よろしくお願いいたします
ものすごい雑談なのでここは読まなくて良いです。
いやあ、待ちましたねえ
サクラノ詩を発売してすぐにプレイして、今作を待っていた人たちは修行僧かなんかか?
大学生がアラサーになっちまう。
そういう意味で言えば、サクラノ詩→サクラノ刻 と現実の時間経過がリンクしていて読み手側は感情移入がしやすかったかもしれませんね()
予約したのが2022年の夏頃でしたが、そこからがまた長いのなんの。
まだ初回特典の小説とドラマCDが終わっていませんが、本編をクリアしましたのでとりあえず感想を書いていこうかと思います。
前作「サクラノ詩」の感想
攻略順
攻略順については一本筋でしたので詳細は省略
当たり前ですが、
サクラノ詩を全ルートプレイ後に、今作のサクラノ刻をプレイしないと、本当にわけがわからないと思います。
感想
- プレイ時間:28時間
- シナリオ:7/10
- グラフィック:10/10
- 音楽:10/10
- システム:10/10
- 総評:8/10
はじめに結論、そして謝罪を。
辛辣なコメントになってしまって申し訳ございません。
普通に面白かったし良い作品であったけど、7,8年もユーザーを待たせるほどだったろうか…?
シナリオ
起承転結でいうと、承と転がかなりおもしろかったです。
結は「ん…?」ってなりました。
全体的には無駄なく綺麗に纏められていて面白かったです。
グランドフィナーレを美しく飾るために、
無駄(おそらくはシナリオプロットくらいは用意されていたであろう、生徒たちとの個別など)を削り落として綺麗に終わってくれてよかったです。
この余韻を最近の似た感情例えるなら、シン・エヴァンゲリオン見たあとみたいな気持ちでした。
「ほうほう。ふむふむ。」とか、「感動!!!!(´;ω;`)」ではなく、
「ほぁ……」みたいなため息混じりな余韻。
すば日々(下に感想のリンク貼っておきます)よりも、テキスト量が多いらしいのですが、すば日々よりもかなり早く終わったのですよね。
プレイ時間Magicに関しては、単純にテキスト量が原因なのではなく、おおきく下記3点が原因と考えられます。
- 今作は続編であるため、サクラノ刻の世界観や登場キャラクターをすでに理解していた。
だから何度もバックログを読み返して、設定やキャラクターへの新しい理解をそこまで必要としていなかった点。 - ヒロインによる√分岐が少なく、あれこれと試行錯誤する必要がない点。
- サクラノ刻はストーリーの時系列が1、4章以外は基本的に一直線である。
なおかつ、草薙直哉視点で語られることが多いため読みやすかった点。
(当たり前ですがすば日々は視点が変わりまくるし、推理しながら読むのが楽しい。サクラノ詩も氷川√や過去編など)
テキスト量が多いはずなのに、早くクリアできたということは本来良いことなのですよ。
それだけ綺麗にまとめられていて、続きを読むためのクリックの手が止まらない…
ただ前作の”50時間以上のボリューミーさ”を経験していると、このサクラノ刻が終わったときに、「あれ?終わっちゃった???」みたいな感覚になるわけなのです。
今作でも触れられていましたが、時間の密度、
もとい、ここでの場合は、テキストの密度ってやつですかね。
多すぎず、少なすぎず、そのあたりの塩梅はワタクシ個人的にはちょうどよかったです。
人によってこの辺りの意見は変わりそうですねえ。
さて、章ごとに簡単に感想を書いていきます。
1章
扱いが難しい…
サクラノ詩を含む全体を見れば、シナリオのどこかで釉薬に触れて置かなければいけないし、麗華を登場させておく必要もある。
ただしサクラノ刻を作品単体として見たときに、物語のはじめを飾る部分に主人公が全然活躍しないのはどうだろう……と非常悩ましい。
サクラノ詩の6章のラストで藍とふたりで歩いていく終わり方が美しかった。
全体の構成を見ると、今作のサクラノ刻の6章と終わり方が対になっているから、サクラノ詩の6章をサクラノ刻の1章とすることはできない。
だからあれをサクラノ刻の1章としておけばよかったというわけでもない。
かといって、今作の2章や3章にこの内容を入れるのは”情報が遅すぎる”。
サクラノ詩とサクラノ刻、合わせて1つの作品とするなら、高い評価の出来る1章であるが、
サクラノ刻単体でみると微妙かなと思います。
2章
まあ、ちょっともったいないと思う部分もあれど、作品全体を考えたら仕方がないかなと思います。
ここでノノやキウイちゃん、生徒たちを活躍させすぎても、サクラノ詩から続いている物語全体が収集不可になる。
2章のシナリオを膨らませすぎると、読み手が本筋(これは草薙直哉の物語であること)を見失うから、まあ、これで良かった。
絵画がなんのため、誰のために存在するか、どんな思いで描かれたか。
テーマはけっこう対になっていて、”2作目の立ち位置”としては構成がよくできていたかなと思います。
ただ前作「サクラノ詩」の2章が面白すぎただけに、比べると少し弱いような気が…
くるっぽーのぬきたしじゃないですが、
個別ルートアペンド追加、DLCみたいな感じで、
2章から分岐させて、生徒たちの個別√を
半年〜1年に1本ペースでロープラで作るのも、売り方としては無きにしもあらずかなと思っています。
もしかしたら新作をフルプラでだすつもりかもしれませんが、また長いこと待たされるのはたまらんですよ…
3章
心鈴ルートがすごくおもしろかったです。
というかこれに関してはキャラが見た目も性格も良すぎるというのもあるが…
草薙と圭の弟子であるところのみすゞが芸術家として切磋琢磨していけたら、
それはまあ一種のハッピーエンドであったかもしれないが、
やはり、みすゞひとりの力では草薙を動かす要因、動力源としては弱いから、あの終わり方で納得せざるをえないものでした。
余談になります。
前作も確かそうだったのですが、グランドルート以外は、
草薙直哉の人生的視点で、先のステップまでは描かれないのですよね。
物語開始時点と同じ立ち位置のまま√が終了を迎える。
例えばサクラノ詩の稟√なら、サクラノ詩の物語の開始が高校時代で、√の最後は高校を卒業して〆。きっと存在したであろう温かい家庭などの描写は一切描かれず。
今作3章心鈴√も 学生のみすゞ/教員の草薙 で終了。
草薙直哉が芸術家として先に進めなければ、進まなければ、
その後のきっとあるはずの、”ある程度”の幸せな未来すら描かれない点がシリーズ通して一貫していて好きです。
真琴√は導入がかなり微妙なのと、釉薬の設定開示のためという要素が強すぎた気がします。
草薙直哉は一生一穴の信念があるのにこんな簡単に身体を許してほしくなかったです。
事実上、身体から始まる関係だったから悲しいです。
この√はシナリオ全体においては必要な要素ではあったが、
前作の個別√で”愛以外の全てを手に入れることができなかった”、真琴の無念を晴らすリベンジには成り得なかったことが残念でした。
やはり今作も真琴は、愛しか手に入れられていない。草薙直哉が再び筆をとる覚悟をする要因とはなり得ない。
この徹底ぶり、シナリオライターは鬼畜です。
そして
グランドルート
3章終盤から、5章中盤の長山の対決途中くらいまでがとても面白かったです。
はい。
長山はユーザーによってはかなり好き嫌いの分かれるキャラクターな気がしています。
個人的には長山はあまり好きではないのです。
キャラクターの立ち位置は好きですよ。才人を見て絶望した凡人という立ち位置。草薙直哉にまた絵を描いてほしいという一貫した強い意志。
カッコいいのは理解しているのです。
主人公にとって、すば日々の希実香のような役割を与えたかったのかなと思っております、感覚的に。
ただ5章終盤、もっと言えばサクラノ詩から続く、このサクラノ刻という大作の、終盤も終盤で、
ずっと長山が出ていてちょっと飽き飽きでした。
彼女のキャラクターが濃い目である点も要因のひとつですが、
前作からしっかり好意が描かれていた氷川が、全然まったく草薙のお役に立てなかったのが可愛そうで目も当てられない。
そして生徒との個別√を描かなかったのだから、氷川とユウミのえちシーンも徹底して省いてほしかった。
R18 ゲームに対して、「行為シーンをなくせ」 という意見を出すのはいかがなものかとは思うが、全体像を考えるのであればこそ。
草薙直哉の物語のあの終盤のタイミングでサブヒロインのレズ行為シーン…
Extraのおまけじゃだめだったんか…
そして稟との対決。
明石はカッコいいし、あの雫のセリフからの向日葵と桜の作品の演出は、映像も音楽もめちゃくちゃ痺れましたけど……、
あれ………………、ライブペイント対決じゃなかったっけ…………?
私がなにか読み飛ばしていましたらすみません。
自然とふたりとも作品を持ってきてるし、これまでの流れ的に私はちょっと困惑気味でした。
それと草薙さん、ラストシーンだけ無理に喋らなくてもいいです………
6章
本当にエピローグという形で、もう少し色々なキャラクターを出してくれてもよかったのでは?
みすゞと雫も終盤もっと出してあげて…!
まだ初回特典の小説とドラマCDを聞いていませんので、稟と雫に関してはここで描かれるのでしょうね。
読了し、気が向きましたらまた感想を書きたいと思います。
グラフィック
ゆさの先生を起用してほしい気持ちもありましたが、
サクラノ詩と絵柄がガラッと変わっても違和感を覚えてしまうのでやむなし……
背景はATRIにかなり似ていた気がしましたね、同じ人が描いてます?
行為シーンでのキャラクターの肉感がすごく良かったです。
真琴のおしり&太ももや、心鈴の胸周りからお腹にかけての肉感がたまらんです^^
今回初回特典はトレーダーでバニーの藍先生を選んだのですが、これは良いですね。
筋肉や骨、関節の曲がり具合、肉の付き方なんかがリアルで、大変元気が出ます。色んな意味で^^
籠目先生ですかね? ブックメーカーなんかはまあ作風に合わせたのでしょうけど、このタペストリーのバニー藍先生はこれまで見たどの絵よりも好きです。
今後も応援してます。
エンドロールの絵が前作に続き”良すぎ”です
原案はシナリオライターですかね?
音楽
音楽良すぎだろ!!
まず曲数が多すぎるうえに、前作のかっこいい音楽をそのまま使っているのが上手すぎ。
グランドエンディング曲を「櫻ノ詩」で締めくくるってのは、
あ”~、こりゃあね、オタクの心理を理解しすぎている。
もしや枕のクリエイターは私のブログを読んでるな???
明石の登場音楽は好きですね。シリアスなゲームなのにその空気をぶち壊せるパワーがある。
正直に申し上げますと、前作のほうが単体ごとのBGMは良かったです。
今作の良かった点は、新しい曲を交えながらも、それらの使い所が上手でした。
ケロ枕作品は総じて音楽が良いと信じていたので、本当、期待を裏切らなかったですね。
追記(2023/09/04)
サントラなど買いました。
虚無の先で愛を見つける
これ好きです。
Mon Panache!
これかなり好きです。そこらのオープニングよりも良いレベル。刻ト詩とか櫻ノ詩がレベチ過ぎてて隠れてしまうというか、比較されやすいといいますか。知名度を高める手段が無いのが本当に勿体無い。
櫻ノ詩-2023Mix-
完全版商法!!!(褒め言葉)
もともと神曲だったのに、しれっと越えてくるのヤバすぎますよ。最高です。
システム
全てにおいて使いやすかったです。
右上の不等号にカーソルを合わせるとコマンドが出てくるのも使いやすかったし、バックログからスキップ&ボイス再生できるのもありがてえ
UIデザイン、環境周りは流石に2023年発売のゲームだけあって完璧に快適でした。
文句一つないです。
まとめ
面白かったです。
ただあくまでも私個人の意見ですが、シナリオに関して、わりと思うところがあります。
気持ちとしては、これだけの時間を与えられておきながら、予想の域を出なかったというのが大きいです。
予想もしない展開、あるいは、予想を超えてくる展開。
「あれって伏線だったんかい!!」みたいなものを期待してないでもなかったですよ。
順当に2,3年くらいで発売されていたら、綺麗な終わり方だし何も不満はなかったと思います。
例えば4章の圭の過去に関しては、既にもともと示されていた情報を実際に圭の視点で語り、絵をつけて音をつけたのですね。胸熱でしたよ。
ただこれが、すば日々の4章やサクラノ詩の健一郎の墓碑銘のシーンと比較すると、あまりにも弱い。
「向日葵」の絵画が完成するまで・したときの描写、そのときの圭のリアクションなんかがしっかり描かれていてもよかったのかなと。まあ、例えばですけど。
サクラノ詩の6章 ここが『幸福のその先』
サクラノ刻の6章 ここが『幸福の先のさらに先』
好きな作品を無事に最後までプレイできたことは良かったです。感謝です。
HUNTER×HUNTERとかきっとあれ完結しないし。
でもやっぱりけっこう複雑な想いです。
車輪の国、向日葵の少女とか、金色ラブリッチェとか、あの辺りの作品は、クリアして何年も経っているのに、普通に生活していて、ふと思い出しては余韻に浸るのですよ。
果たして、私にとって、この、サクラノ刻はそういった作品だったでしょうか。
人生に影響を与える作品、”魂の震えるような作品”だったでしょうか。
作者は草薙直哉を通してユーザーに何を伝えたかったのでしょうか。
ただ、終わらせなけりゃあいけない物語だから、頑張って終わらせただけではないでしょうか。
それがわかるのはきっと未来の自分だと思います。
おわり